実査日: 2026-08-11 / 更新: 2026-08-13

『三すくみ』を数式と実データで検証したら

通貨エクスポージャーの残差式、グリッドを載せたときの相殺率、スワップ22通りの結果を整理する。

結論

三すくみの静的な相殺は、相関ではなく通貨別エクスポージャーの代数で決まる。一方、グリッドを各レッグに載せると、検証した11三角形のうち10本で3レッグがすべて含み損側になり、相殺率は1.000だった。GMOの11三角形を2方向で調べた22通りは、スワップがすべてマイナスだった。

今日の疑問

若手研究者のイラスト
若手研究者
三すくみの相殺は、相関を見れば判断できますか?
博士のイラスト
博士
データ上は通貨別エクスポージャーの代数で静的な相殺が決まる仕組みです。
若手研究者のイラスト
若手研究者
博士、三すくみなら、どれかが下がっても別の通貨ペアが上がるので、損をしないと考えていいんでしょうか?
博士のイラスト
博士
いい質問ですね。実は、3つの損益を完全に打ち消せるわけではないんですよ。
若手研究者のイラスト
若手研究者
グリッドを載せても、同じ相殺が続きますか?
博士のイラスト
博士
データ上は建玉状態が変わるため、固定ロットの相殺をそのまま置けません。
若手研究者のイラスト
若手研究者
スワップの向きについては何が残りましたか?
博士のイラスト
博士
確認した範囲の周回方向では、スワップがすべてマイナスでした。

検証条件

対象
11三角形・2方向の22通り
検証窓
35営業日
スワップ標本
GMO公式スワップAPIの73付与日平均
ロット条件
N1=N2=L、N3=−Lの等ロット

残差の一般式

建玉を通貨別の正味エクスポージャーに分解すると、評価損益は次で表せる。

Π(t) = Σ_A h_A · Δj_A(t)

X/Y、Y/Z、X/Zの3レッグを考える。等ロットで N1=N2=L、N3=−L とすると、残差は次になる。

h_Y = L · (1 − S_0(X/Y))
残差率 = |1 − cross|

完全ヘッジのロット比は一意で、1 : S_0(X/Y) : −1。全レッグの建値JPY名目をそろえる比率である。ただし完全ヘッジ後も業者クオートの非同期による三角裁定ベーシスは残る。AUD-CAD-JPYの完全ヘッジ本では、2026-05-18〜07-03の評価損益レンジが−606〜+1,143円、振れ幅が1,749円だった。

若手研究者のイラスト
若手研究者
つまり、完全ヘッジなら値動きは消えますか?
博士のイラスト
博士
データ上は完全ヘッジ後もクオート非同期のベーシスが残ることが分かります。
若手研究者のイラスト
若手研究者
完全ヘッジ比を置いても、実際の評価損益は残るのですね?
博士のイラスト
博士
そうなんです。AUD-CAD-JPYでは−606〜+1,143円のレンジが残りました。

グリッドを載せるとすくみが消える

グリッドは「まだ利確していない建玉」を持つ仕組みで、固定ロットのヘッジ比率とは別の状態になる。11三角形の実測は次のとおりだった。

指標結果
3レグが全て同符号(全部マイナス)11本中10本
offset_ratio = |Σ| / Σ|·|1.000(残り1本は0.969)
本の含み損ボラ / 独立3本のボラ0.75〜1.17(平均0.90)

AUD-CAD-JPYでは、AUD/CAD買 −23,823円、CAD/JPY買 −71,518円、AUD/JPY売 −12,928円、合計 −108,269円だった。表の数値は35営業日の検証窓の値で、将来の挙動を保証するものではない。

若手研究者のイラスト
若手研究者
つまり、グリッドでも相殺率を前提にできますか?
博士のイラスト
博士
データ上はレッグごとの建玉が変わるため、固定ロットの比率をそのまま適用できません。
若手研究者のイラスト
若手研究者
3レッグ全部が含み損側になる観測も、固定ロットの式とは別に読むべきですか?
博士のイラスト
博士
そうですね。11三角形の実測と、静的な残差式は別の観測として並べて読みます。
若手研究者のイラスト
若手研究者
相殺率1.000は、将来も同じになる値ですか?
博士のイラスト
博士
データ上は検証窓での観測値であり、将来の挙動を保証するものではありません。

22通りのスワップ

GMO公式スワップAPIの73付与日平均では、21ペアすべてで買いと売りの合計が負だった。11三角形×2周回方向の22通りもすべてマイナスで、日次スワップは建玉300万円あたり−19.0〜−54.7円、拠出証拠金比の年率は−5.78〜−14.29%だった。

若手研究者のイラスト
若手研究者
22通りすべてがマイナスというのは、どの条件の結果ですか?
博士のイラスト
博士
GMO公式スワップAPIの73付与日平均を使い、11三角形を2方向で確認した結果です。
若手研究者のイラスト
若手研究者
その範囲を超えてスワップの向きを決めつけてはいけないのですね?
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博士
そうですね。業者条件や政策金利で変わる標本事実として読む考え方です。

AUD-CAD-JPYは−53.71円/日、−19,604円/年で、証拠金比は−14.1〜−14.4%/年だった。

グリッドの期待値と摩擦

ジョイント・ブロック・ブートストラップでは、60分ブロックの平均−27,523円、1日ブロックの平均+3,553円で、実測+148,610円は分布の1標準偏差以内だった。11三角形から最良を選んだ多重比較補正後のp値は0.62、61サイクルから選ぶ場合は0.996だった。

真にヘッジを維持するには、片側の約定ごとに他のレッグをミラー約定させる必要がある。AUD-CAD-JPYの1往復コストはミラーあり835円、グリッドレッグだけなら507円、グロス往復益2,834円に対するミラーありのコスト比は29.5%だった。

若手研究者のイラスト
若手研究者
グリッドの結果は、コストを含めると見え方が変わりますか?
博士のイラスト
博士
データ上はミラーあり835円、グリッドレッグだけ507円で、摩擦を別に確認する必要がありますね。
若手研究者のイラスト
若手研究者
実測のP&Lだけを期待値として扱わない方がよいのですね?
博士のイラスト
博士
60分と1日ブロックで平均が異なったため、ブロック定義と多重比較も併記します。

確度の明示

数式で確定しているのは、エクスポージャー式、等ロットの残差式、完全ヘッジ比率、三角形の列挙である。スワップの実測値は73付与日の標本事実で、政策金利や業者条件で変わる。P&L順位やベーシスのノイズ床は短い検証窓の観測であり、外挿しない。

若手研究者のイラスト
若手研究者
数式で確定した部分と、短い検証窓の観測は分けて表示するのですね?
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博士
そうですね。式・列挙・比率は確定部分、P&L順位とベーシスは標本観測として分けて扱います。
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若手研究者
73付与日のスワップ値も、条件が変われば更新が必要ですか?
博士のイラスト
博士
データ上は政策金利や業者条件で変わるため、実測日の標本事実として記録します。

実査日・出典・免責

実査日: 2026-08-11。出典: source_reports/sukumi_verification_2026-08-11.md、GMO公式スワップAPI・取引ルール。元レポートの訂正(完全ヘッジでもベーシスが残る、連続近似を厳密な上限としない)を反映した。

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