『三すくみ』を数式と実データで検証したら
結論
三すくみの静的な相殺は、相関ではなく通貨別エクスポージャーの代数で決まる。一方、グリッドを各レッグに載せると、検証した11三角形のうち10本で3レッグがすべて含み損側になり、相殺率は1.000だった。GMOの11三角形を2方向で調べた22通りは、スワップがすべてマイナスだった。
今日の疑問
検証条件
- 対象
- 11三角形・2方向の22通り
- 検証窓
- 35営業日
- スワップ標本
- GMO公式スワップAPIの73付与日平均
- ロット条件
- N1=N2=L、N3=−Lの等ロット
残差の一般式
建玉を通貨別の正味エクスポージャーに分解すると、評価損益は次で表せる。
Π(t) = Σ_A h_A · Δj_A(t)
X/Y、Y/Z、X/Zの3レッグを考える。等ロットで N1=N2=L、N3=−L とすると、残差は次になる。
h_Y = L · (1 − S_0(X/Y))
残差率 = |1 − cross|
完全ヘッジのロット比は一意で、1 : S_0(X/Y) : −1。全レッグの建値JPY名目をそろえる比率である。ただし完全ヘッジ後も業者クオートの非同期による三角裁定ベーシスは残る。AUD-CAD-JPYの完全ヘッジ本では、2026-05-18〜07-03の評価損益レンジが−606〜+1,143円、振れ幅が1,749円だった。
グリッドを載せるとすくみが消える
グリッドは「まだ利確していない建玉」を持つ仕組みで、固定ロットのヘッジ比率とは別の状態になる。11三角形の実測は次のとおりだった。
| 指標 | 結果 |
|---|---|
| 3レグが全て同符号(全部マイナス) | 11本中10本 |
offset_ratio = |Σ| / Σ|·| | 1.000(残り1本は0.969) |
| 本の含み損ボラ / 独立3本のボラ | 0.75〜1.17(平均0.90) |
AUD-CAD-JPYでは、AUD/CAD買 −23,823円、CAD/JPY買 −71,518円、AUD/JPY売 −12,928円、合計 −108,269円だった。表の数値は35営業日の検証窓の値で、将来の挙動を保証するものではない。
22通りのスワップ
GMO公式スワップAPIの73付与日平均では、21ペアすべてで買いと売りの合計が負だった。11三角形×2周回方向の22通りもすべてマイナスで、日次スワップは建玉300万円あたり−19.0〜−54.7円、拠出証拠金比の年率は−5.78〜−14.29%だった。
AUD-CAD-JPYは−53.71円/日、−19,604円/年で、証拠金比は−14.1〜−14.4%/年だった。
グリッドの期待値と摩擦
ジョイント・ブロック・ブートストラップでは、60分ブロックの平均−27,523円、1日ブロックの平均+3,553円で、実測+148,610円は分布の1標準偏差以内だった。11三角形から最良を選んだ多重比較補正後のp値は0.62、61サイクルから選ぶ場合は0.996だった。
真にヘッジを維持するには、片側の約定ごとに他のレッグをミラー約定させる必要がある。AUD-CAD-JPYの1往復コストはミラーあり835円、グリッドレッグだけなら507円、グロス往復益2,834円に対するミラーありのコスト比は29.5%だった。
確度の明示
数式で確定しているのは、エクスポージャー式、等ロットの残差式、完全ヘッジ比率、三角形の列挙である。スワップの実測値は73付与日の標本事実で、政策金利や業者条件で変わる。P&L順位やベーシスのノイズ床は短い検証窓の観測であり、外挿しない。
実査日・出典・免責
実査日: 2026-08-11。出典: source_reports/sukumi_verification_2026-08-11.md、GMO公式スワップAPI・取引ルール。元レポートの訂正(完全ヘッジでもベーシスが残る、連続近似を厳密な上限としない)を反映した。
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