自動売買の実績ブログを読むときの統計チェックリスト
結論
自動売買の実績は、損益の大きさより先に、記録種別・標本・選択手順・含み損・コストの5点を確認する。これは特定の発信者を採点するものではなく、数字の前提を同じ順番で読むためのチェックリストである。
今日の疑問
1. バックテストと実口座が分離されているか
バックテストは過去データと実装した約定規則の結果で、実口座は実際の注文・約定・失効・資金制約を含む記録である。同じ「実績」という欄へ混ぜず、少なくとも次を分けて読む。
- 記録の種類: バックテスト、ペーパー運用、実口座
- 対象期間と通貨ペア
- ロット、発注時刻、決済条件
- bid/ask、滑り、注文失効の再現範囲
当サイトの複数ペア分散の検証では、「全コスト後」としていたP&Lにbid/ask履歴と注文失効の再現がなかったため、その表現を訂正した。記録の種類だけでなく、実装した条件まで分ける必要がある例である。
2. t値とサンプル数が明示されているか
t値だけでは、どれだけの観測から計算したかが分からない。期間、n、1標本が取引・日・週のどれか、自己相関をどう扱ったかを一緒に確認する。すべての検証へ共通する単一の基準値を置くのではなく、標本の作り方に沿って読む。
仲値ゴトー日検証では、2026年の158営業日を同じ時間帯・同じ1分足で比較し、t値は0.05〜0.34だった。結論も158営業日の標本範囲に限定した。数値と標本の説明が対になっているかを見る例である。
3. 最良結果だけを見せていないか
候補を多数試すほど、偶然に良い値が含まれやすい。次の情報があれば選択過程を追いやすい。
- 比較した候補の総数
- 選択基準を結果を見る前に決めたか
- 多重比較を調整したか
- 別期間や未使用データで再確認したか
三すくみ検証では、11三角形から最良を選んだ後の多重比較補正p値は0.62、61サイクルから選ぶ場合は0.996だった。候補の中の最大値だけでなく、選択を含めた分布で読む例になる。別の60バリアント比較でも、最大値を選ぶ行為自体を過剰適合の要因として記録した。
4. 含み損と実現益が分離されているか
実現益だけが積み上がる表示では、未決済建玉の含み損と必要資金が見えにくい。実現損益、含み損益、合計損益、最大ドローダウン、維持率を別々に確認する。
複数ペア分散の検証では、累積確定益を除いた反実仮想が130日中49日で維持率100%を下回る一方、実際の最小維持率は139.0%だった。含み損が最も悪化した5日間を確定益が覆った割合は8.13%で、実現益だけを資金設計の前提にしないと整理した。
5. スプレッドとスワップを含むコストか
少なくともスプレッド、スワップ、手数料、滑り、注文失効・未約定の扱いを確認する。固定した中央値だけでは、時間帯によるスプレッド拡大を取りこぼす場合がある。長く保有する方式では、入口のスプレッドより日々のスワップ差が大きくなることもある。
トラリピのコスト構造では、AUD/NZD・1万通貨・40日保有をそろえ、入口のスプレッド費と40日分のスワップ取り分を並べた。スワップの符号・日数・通貨単位はスワップ取り分の実測比較で確認できる。
保存用チェック表
| 観点 | 確認する記載 |
|---|---|
| 記録種別 | バックテスト・ペーパー運用・実口座の区別 |
| 標本 | 期間・n・1標本の単位 |
| 選択 | 候補数・選択基準・多重比較・別期間確認 |
| 損失 | 実現損益・含み損益・最大ドローダウン・維持率 |
| コスト | スプレッド・スワップ・手数料・滑り・注文失効 |
より詳しい開示方針は、当サイトの検証方法にまとめている。
実査日・出典・免責
実査日: 2026-09-01。出典: source_reports/cost_sensitivity_2026-01-05_2026-07-03.md、source_reports/multipair_trap_2026-08-12.md、source_reports/multipair_trap_audit_codex_2026-08-12.md、source_reports/fx_alt_edges_2026-08-13.md、source_reports/sukumi_verification_2026-08-11.md。各項目は、当サイトで行った検証と訂正記録を一般的な読み方へ整理した。
本サイトは投資助言を行いません。掲載情報は実査時点のもので、将来の結果を示すものではありません。FXには元本割れを含む損失リスクがあります。